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優秀な人材の採用方法と、そこで選ばれるエンジニアとは?

システム開発プロジェクトが立ち上がれば必ずITエンジニアが必要となり、プロジェクトマネージャーは役割にフィットした出来るだけ優秀なエンジニアを採用したいと考えるものです。とはいえ経歴書と短時間の面談で技術力なんてわかるはずもありません。では、何を決め手にするのでしょうか。

プロジェクトはチーム戦です。強敵に立ち向かうのであれば、各ポジションで活躍が期待できるプレイヤーを探し集めてチームを作ります。強敵といっても対戦相手がいるわけではないので、システム開発で言えば難易度やミッションクリティカル度でしょう。難度の高いプロジェクトに臨む時には、相応なチームを作ることが当たり前と思っていましたが、世の中にはそうでもないプロジェクトがあって驚きます。炎上しているプロジェクトに立て直しで途中参画したら、まるで少年野球の低学年チームのようなこともあり、そこまでだと逆に育成と原石探しにワクワク感もありますが、ミッションクリティカルなプロジェクトでは、絶対的に成果を求められるので、さすがにそのままで良いわけはありません。これは、一概にエンジニアのスキルが低いと言っているわけではなく、役割とスキルがフィットしていない場合もあります。
今回の記事では、どのように優秀なエンジニアを採用するか、また、どのようなエンジニアが採用されるのかについての考えを書いていきます。

なお、二次受け、三次受けといったゼネコン型の丸投げ体制やオフショアやニアショア開発など一領域をまとめて請負でベンダーに出す場合の話ではなく、実態として開発を担う体制におけるエンジニア採用について記載しています。

かんたんイラスト(記事を読む時間のない人へ)

やってはいけない採用方法

これまで多くのシステム開発会社と関わりを持ってきましたが、エンジニアの調達プロセスが明確に決まっている会社は少ないと感じています。大手SIerでは調達部門が協力会社を一元管理していることもありますが、プロジェクトマネージャー自身で探して依頼したり、同僚や上司に相談したりして、過去に繋がりのある人づてに見つけていくことが多いのではないでしょうか。
エンジニア採用でやってはいけないこと、それは、人任せで決めてしまうことです。
会社の新卒採用や中途採用では、必ずいくつものステップがあり、段階的に評価、選定していくプロセスが確立しています。なぜなら、できるだけ優秀な人材を採用したいと、会社は期待しているからです。プロジェクトも同じで即戦力を期待します。むしろ期間限定なプロジェクトの採用は、会社の社員採用より高い即戦力を求めて然るべきです。
乱暴な言い方をすると、社員の育成は会社の資産となる可能性があるため投資ですが、外部から調達したエンジニアの育成はコストでしかありません。また、一人のエンジニアの活躍で窮地を脱して成功に導けることもあれば、逆に大きなトラブルを起こすこともあります。それをわかっているにも拘わらず採用プロセスが甘いことに残念さを感じます。少なくとも開発責任者であるプロジェクトマネージャーがしっかりと採用に関わるべきであり、上司や協力会社の営業が連れてきたエンジニアを評価もせずに決めてしまうことは、絶対にやってはいけないことです。

おすすめの採用プロセス

では、優秀なエンジニアを採用するには、どのような方法が良いでしょうか。基本的には、会社の中途採用と同じような下記の4ステップを取ることをお薦めします。既に理解している方はこの章を読み飛ばしてもらって構いませんし、こんな面倒なプロセスを通さなくても優秀なエンジニアを探す方法もありますので、それは次章で説明します。
 書類選考:経歴書でフィルタリング
 1次面接:人を見る目がある人による評価
 2次面接:配属するチームリーダーによる評価
 最終面接:プロジェクトマネージャーによる評価
書類選考は、必須です。一緒に働いたことがある人の強い推薦の場合は無くても構いませんが、会ったこともない候補者の経歴書も見ないというのは危険すぎます。チームリーダーの負荷を高めないためにも、しっかりと採用に関わりを持つ意味でも、この書類選考はプロジェクトマネージャーが行うべきです。
1次面接は、中途採用で言えば人事面接に当たります。エンジニアとしての経験やスキルよりも、候補者の人間性や性格、キャラクターがプロジェクトのカルチャーに合致しているかを重視します。そのため、人を見る目がある人であれば、プロジェクト外の人でもプロジェクトのムードメーカー的なメンバーでも構いません。
2次面接では、エンジニアを追加したいチームのリーダーが面談します。経験とスキルを確認しつつチームリーダーが一緒に働きたいと思える人材か、チームメンバーとうまくやっていけそうかで判断します。
最終面接は、1次2次の評価が合致している場合は割愛しても構いませんが、評価が割れている場合には、プロジェクトマネージャーが最終判断するべきです。

このプロセスを順に行うと時間がかかるため、1次~最終面接を一度に行ってしまうやり方も有りです。候補者には若干の圧迫感を与えてしまいますが、人間性を評価する人、チームリーダー、プロジェクトマネージャーが揃って、異なる観点で同時に評価して1回で決めてしまうのも良いでしょう。

優秀なエンジニアの採用方法

前述のプロセスで一人ひとり採用していくのは大変ですが、もっと簡単な方法があります。それは、”優秀な人の紹介は優秀”という法則からくる方法です。会社の中途採用でもリファラルという方法がある通り、信頼できる人が紹介してくれる人は信頼できるというのは世の定説なのです。プロジェクトで採用する場合は、むしろ先にこちらのアクションを取るべきで、この方法で良い人を見つけられない場合に、前述のプロセスで採用を行う流れとする方が効率的です。
・既存エンジニアの紹介
既にプロジェクトに参画しているエンジニアの中に優秀な人がいる場合は、その人から紹介してもらう方法がおすすめです。そのエンジニアと同じ会社からの増員となれば、紹介してくれたエンジニアに新規参画者の面倒を見てもらうことも出来るため、採用後の効率も良いです。また、紹介した手前、ある程度パフォーマンスにも責任を持ってもらうことが期待できるため安心感もあります。
・過去に取引実績のある協力会社からの採用
同僚や上司から取引実績のある協力会社を紹介してもらう方法です。ここでも、紹介してもらう人は、あなたが優秀と認める同僚や上司に限りますし、さらに言うと、その同僚や上司が優秀と認める協力会社に限ります。
・フリーランスの採用
協力会社に頼るのではなく、フリーランスのエンジニアを採用する方法です。個人的な経験則では、会社員よりもフリーランスエンジニアの方が、平均値として能力もコミットメントも高いと感じています。協力会社へお願いすると、ビジネスも考えての人選となるため、少人数の要請ではエース級のエンジニアは出し惜しみされる可能性があります。少人数・短期間よりも大人数で長期間のプロジェクトの方が、協力会社のビジネスとして嬉しいのは当たり前のことです。フリーランスであれば、その後の増員の際にも横の繋がりで、ビジネスの利害なく数珠繋ぎ的に優秀な人材を紹介してくれる可能性もあります。ただし、フリーランスを採用する場合は、会社としての保証がないため前述した採用プロセスでしっかりと評価していくことが必要です。

選ばれるITエンジニアとは?

プロジェクトで優秀な人材を採用しようとする時、どのようなエンジニアが選ばれるのでしょうか。それには、採用する側がどのような観点で評価しているか知っておくことが大事です。スキルが第一と考える方が多いと思いますが、経歴書と短時間のインタビューからスキルを見極めることははっきり言って不可能です。スキルは評価項目の一つではあるものの、知り得た情報から推測するに過ぎないため、その他の観点も含めて総合的に評価していくことが多いです。クリティカルなプロジェクトでは、1人のエンジニアを採用するために10名以上の候補者と面談して決めたこともあり、つまり合格率1割です。そこまでしてでも、優秀な人材が欲しいのです。当然、エンジニアにも仕事を選ぶ権利はあるので、合わないと思えば、自分から断ることも必要ですが、そういう時に限って採用連絡が来たりするものです。その理由わかりますか?
これまでに1,000人近くのエンジニアと一緒に仕事をしてきた経験から、私が大事にしている4つの評価観点を教えます。それぞれの項目について、選ばれるエンジニアになるためのヒントも合わせて説明していきます。

1.実績
言わずもがなですが、プロジェクトに類似した経験があるかです。クライアント、業界、業務、ソリューション(製品や開発言語)、工程、プロジェクト規模、状況などプロジェクトとの類似点をあなたの実績から見つけたいと思っています。これは、経歴書からわかる事なので、書類選考の時点で確認します。なので、エンジニアは、自分の経歴からプロジェクトの類似点を事前に見つけ出し、そこにフォーカスして、必要に応じて記載内容を書き換えて提示することが大事です。特に、工程については、意識して記載すべきです。例えば、設計が出来る人を探している場合、設計だけの経験者と設計と開発の経験者では、後者の方が断然採用の確度が上がります。なぜなら、設計後の開発工程でも開発者としての役割を期待できるので、新たに開発エンジニアを探す手間もなく、また設計をしたことで開発リスクも計算できるからです。経歴書には、設計の実績に加えて、「設計者として契約して、そのまま開発工程まで契約延長」などと記載しておくと目を引くことになります。

2.健康
別の記事【ITエンジニアが「安定している人」を目指すべき理由】でも記載していますが、いくらスキルが高くても、休みがちな人に計画タスクを任せることはリスクが高過ぎて、採用を躊躇します。なので、健康に自信がある人は、経歴書の各プロジェクト実績の欄に「病気による欠勤なし」などと書くことで、強いアピールになります。

3.説明が分かりやすい
これはインタビューをしないとわかりませんが、言いたいことを、分かりやすく伝えることができるかです。プログラミングにしても、設計書作成にしても、構造的な思考が求められます。設計書やソースコードは、本番稼働した後も運用者によって使われていくため、誰が見ても理解しやすいことがとても重要です。わかりやすく話せる人は、コードも設計もわかりやすく書くことが出来ると経験上思っています。これについても別の記事【ITエンジニアにドキュメント力がとても大切な理由】に記載していますので、参考にしてください。

4.正直
これは面接官が最も重視していることかもしれません。短時間の面談で素の性格までわかるはずはありませんが、少しでも分かりたいと思うのが、採用する側の気持ちです。常に否定的・反抗的な態度や言動は困りますが、知っている風を装うよりも、分からない事はわからない、知らないことは知らないと、即座に言える方が良いです。プロジェクトという期間限定の関わりでは、時間をかけて分かり合う余裕はないので、心に思っていることや考えていることを正直に言うことは特に重要です。断る時に限って採用連絡が来るのは、あなたの思いが正直に出てしまっていたということかもしれません。

まとめ

今回は、即戦力となる優秀なITエンジニアの採用方法を紹介しました。簡単に言ってしまえば、会社の中途採用と同じようなプロセスで採用することが大事で、もっと言うと「優秀な人の紹介は優秀」という定説に従うのが、時間もかからず確実性も高いということです。
裏を返せば、エンジニアにとっても、優秀な繋がりをいかに増やせるかによって引き合いは多くなり、より優秀な人材へと成長できるということも言えます。まずはプロジェクトに参画すること、そのためには採用時の評価観点を知っておくことが効果的だと思います。