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相場が成立しない理由
フルスクラッチでのシステム開発に相場はありません。相場が成立するのは、商品が一般的に流通していて、数が多い場合です。そのような場合は競争原理が働き、金額がある一定の範囲に収まってきます。しかし、フルスクラッチ開発は、一点物の特注品を作るようなものであり、標準的な価格を定めることは困難です。
建築業界との違い
建築業界では、一戸建ての価格は建物の規模、使用する資材、そして職人の工数によって決定されます。これは標準化された要素が多いためです。一方、フルスクラッチのシステム開発は、顧客ごとに要件が大きく異なる特注品を作るようなものです。そのため、システムの規模や複雑さ、必要となる技術レベルが案件ごとに大きく変動し、一般的な相場という概念を適用することは困難です。
人件費主体の開発コスト
システム開発では、建築と異なり基本的な材料費はかかりません。開発費用の大半は人件費が占めており、これはSE(システムエンジニア)の人月単価として計算されます。人月単価とは、SE一人が一ヶ月働くために必要な費用のことです。この単価は、エンジニアの経験年数やスキルレベル、担当する役割によって異なります。
ただし、この人月単価はあくまでも工数を図る一つの指標であり、プロジェクト全体の価格を決定する要素の一部に過ぎません。実際のプロジェクトでは、要件の複雑さや技術的な難易度なども考慮する必要があります。
開発期間の変動要因
建築物と異なり、システムやソフトウェアは目に見えない無形の成果物です。そのため、開発に必要な労働力を正確に見積もることは非常に困難です。同じ機能を開発する場合でも、プログラマーの経験や習熟度、問題解決能力によって作業時間に大きな差が生じます。
また、プロジェクトの途中で要件が変更されたり、予期せぬ技術的な問題が発生したりすることも多く、これらが開発期間や必要な工数に影響を与えます。そのため、開発の初期段階で正確な見積もりを行うことは、経験豊富なプロジェクトマネージャーでも難しい課題となっています。
まとめ
SEの評価は、過去のプロジェクト参画実績に基づいて行われることが多く、同様のプロジェクトを複数経験していることが高いスキルの証とされます。しかし、プロジェクトの参画回数と実際の問題解決能力は必ずしも比例しません。真のスキルとは、プロジェクトを成功に導く総合的な能力を指すのです。
ソフトウェア業界が生まれて20年以上経ってもなお、スキルと呼ばれる知識やプログラムを作る早さによって、エンジニアひとりの金額が決まり、その金額に期間を掛けてシステム開発費用とすることは、未だに多くあることでしょう。
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