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一瞬でわかる炎上の危険度(誰が報告しているか?)

「炎上プロジェクトを何とかしてほしい」との要請を受けて、プロジェクトマネージャーの支援やリプレース候補として参画する機会がよくあります。
参画してすぐに炎上の理由がわかることがあります。
プロジェクトの体制図もしっかりとしていて、どのようなチーム構成で誰がチームリーダーで、体制が明確になっているのになぜこんな状況に!?
このようなプロジェクトでは、開発内部の進捗報告会やレビュー会に参加してみるとその原因が一瞬でわかった!ということがこれまで何度もありました。
今回は、プロジェクトマネージャーにも当てはまりますが、チームリーダーも含めた開発プロジェクトにおける報告ルールに焦点を当てて、説明したいと思います。

かんたんイラスト(記事を読む時間のない人へ)

進捗報告会に出れば一瞬でわかる炎上要因

開発内部の進捗報告会におけるシーンを切り出してみましょう。
チームリーダーから開発プロジェクトマネージャーへ報告が始まります。チームリーダーは、チームの進捗状況について概略をそれっぽく話しています。でも、詳細な報告に移るとなった途端、主要なチームメンバーが登場しては細かい報告を始めるのです。しかも、プロジェクトマネージャーが質問したことに対して、その応対まで開発メンバーがやっています。チームリーダーを見てみると、ただ聞いているだけ。

これこそ、炎上の要因のひとつです。

チームリーダーが報告できない、プロジェクトマネージャーからの指摘に応対できないというのは、チーム全体の状況を把握できていないと自ら言っているようなものです。これでは、名ばかりのチームリーダーであって、リーダーとしての役割を果たしていないのと同じことです。
メンバーに仕事を振るのは簡単ですが、チームリーダーが責任と役割を果たさないでプロジェクトがうまく進むわけがありません。

報告は誰の仕事か?

アジャイル型、ウォーターフォール型など開発手法にはいくつか種類がありますが、どんな開発手法を使うにしても、チームリーダーの役割と責任の範囲を明確にした方がうまくいくケースが多いと経験上感じています。
報告は、「出来る人」がするものではなく「その役割の人」がするものです。
開発メンバーが詳細をわかっているのは当然です。ただ、プロジェクトマネージャーへ報告する役割はチームリーダーにあります。
体制図とは、そういうことを定義しているものであり、階層の上への報告はその配下のリーダーがするというレポートライン(誰から誰に報告するのか)を決めたものなのです。そのための体制図であり、階層をひとつ飛ばしての報告は原則ルールに逸脱しているのです。

もちろん例外もあります。
「若手メンバーの育成の観点から報告の場を経験させてみよう」とか、「クライアントへの報告会に同席させてクライアントの反応を直に感じてもらいたい」など、きちんとした狙いがある場合は良いです。
ですが、主要な開発メンバーがプロジェクトマネージャーへ報告することが常態化しているプロジェクトは確実に炎上します。
なぜなら、チームリーダーが状況を把握できていない、その報告でプロジェクトマネージャーも納得している、さらに報告する主要な開発メンバーは「このチームリーダーは何のためにいるのか?」と疑問や不満を抱えている可能性が高い、このような状況で炎上してないのはラッキーでしかありません。

報告は成長するためのヒント集

報告を開発メンバーにさせてしまう理由は、様々あるでしょう。
・進捗報告会に別件の予定が入って出席できない
・忙しくて詳細を確認できていない
・チーム内で確認する時間を挟むより直接プロジェクトマネージャーへ報告した方が効率的

進捗報告会は報告する人にとっては、とても貴重な学びの場なのです。
経験豊富で、管理している範囲が広い人からは、自分にはない観点の指摘を必ずもらえます。「過去のプロジェクトではこのような事が起こって、このように対策をしていたが、そこは確認しているか」、「そろそろ全社的な監査の時期なので、突然監査が入る可能性がある」、「別のプロジェクトから優秀な技術者が抜ける予定だが、要員追加やスイッチの検討は不要か」など。
また、フィードバックによって追加調査など行った結果、課題を検知したとか、より理解が深まることもあると思います。

報告は確かに面倒な事でもありますが、義務感で行うのではなく、このように成長のヒントをもらえる場と思えば、開発メンバーに報告させてしまうことは勿体なく感じることでしょう。

ただし、報告しても、想定内のフィードバックや質問しかない場合は、はっきり言って報告する時間は無駄かもしれません。そのような人への報告は、出来るだけ短時間で済ませた方が良いです。
その辺は、下からもシビアに見て良いですし、もしあなたが報告を受ける立場であれば、そのように思われていないか考えた方が良いでしょう。
あの人へ報告しても得るものが全くないと思われてしまったら、とても悲しいです。

まとめ

誰が報告しているかは、プロジェクトを診断する上での判断材料になります。
もし、あなたが、複数のプロジェクトの責任者をやっていて、ひとつひとつのプロジェクトの状況を詳しく把握できないという場合、一度、開発内部の進捗報告会やレビュー会に参加してみてください。
そうすれば、プロジェクトの危険度がぐっとわかると思います。

出典:柴田秀夫@ARAKADO※転載は筆者承諾済