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デジタル化=効率化ではない!

プロジェクトの指針と目標設定

SESという契約形態において、プロジェクトの完遂を困難にする最大の要因は、ゴール設定の曖昧さにあります。明確な目標と将来像の欠如は、プロジェクト全体の方向性を見失わせる原因となります。

そのため、プロジェクトマネージャーをはじめとするリーダー層には、具体的なゴール設定と明確な指針を持つことが強く求められます。組織全体で共有できる目標を設定し、それに向かって進む環境づくりが不可欠なのです。

真のスキル評価とリーダーシップ

システム開発プロジェクトにおける人材選定では、一般的に経歴書やスキルシートが重視されます。しかし、プロジェクト経験の数や使用可能な言語の多さだけでは、真の実力を測ることはできません。重要なのは、予期せぬ事態に直面した際の対処能力です。豊富な解決策を持ち合わせ、チームを適切な方向へ導けるリーダーの存在が、プロジェクトの成否を分けます。

そのため、形式的なスキル評価を超えた、実践的な問題解決能力を見極めることが重要となります。経験の質と、その経験から得られた知見の活用力こそが、真に評価されるべき要素なのです。

アジャイルの適切な導入指針

システム開発における設計の重要性は、プロジェクトの規模や性質によって大きく異なります。小規模な開発では詳細な設計書が不要な場合もありますが、大規模プロジェクトでは綿密な計画と設計が不可欠です。

アジャイル開発を採用する場合でも、完全な設計書なしでの開発は現実的ではありません。プロジェクトの方向性を決定し、進むべき道筋を示せる経験豊富なメンバーの存在が重要です。さらに、システム開発では時間の経過とともに要件や環境が変化し、それに応じて判断基準も変化していきます。

このような変化に柔軟に対応しながら、プロジェクトを成功に導くためには、確かな知見と経験を持つチームメンバーの存在が不可欠となるのです。

部分最適の誘惑と現実

日本の高度経済成長を支えた「カイゼン」という概念は、製造業において大きな成功を収めてきました。しかし、ソフトウェア開発という無形の領域では、その適用に新たな課題が生じています。

時間の経過や状況の変化によって判断基準が変動する特性を持つソフトウェアにおいて、従来の「カイゼン」概念をそのまま適用することは困難です。特に、日本人特有の職人気質が影響し、全体最適よりも部分的な改善に注力してしまう傾向が見られます。多くのプロジェクト現場では、この部分最適の追求が繰り返され、結果として全体としての効率性や生産性の向上を妨げる要因となっているのです。

この課題を克服するためには、従来の改善手法を見直し、ソフトウェア開発の特性に適した新たなアプローチを確立する必要があります。

まとめ

システムの運用・保守において、部分的な最適化は必ずしも全体の最適化につながりません。むしろ、局所的な改善が全体の労働生産性を低下させる場合も少なくありません。特に、優秀で小回りの利く人材ほど業務が属人化しやすく、それが新たな課題を生み出します。

このような状況を改善するためには、誰が全体最適の視点を持つべきか、改めて検討する必要があるでしょう。持続可能なシステム運用のために、この課題への対応は避けて通れません。

部門長や経営層が全体最適の指針をしっかり明示することが、DXプロジェクト成功の鍵であると言えます。しかし、ITのことはわからないから任せている、といった状況では、なかなか前に進むことがありません。

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