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技術的負債を完済する方法

技術的負債の難しさ

技術的負債には、設計負債やコード負債があります。技術的負債は、設計やコードに潜む負債であり、金銭的な負債のように数値で明確に把握することが困難です。借金であれば借入金額や残高でその大きさを測れますが、技術的負債は、システムの複雑さ、保守性の低さ、拡張性の欠如など、さまざまな要因が絡み合い、定量化が非常に難しいのです。

企業経営において、創業者の直感や経験に基づく判断を数値化できないように、技術的負債も、システムの設計思想や開発過程など、無形の要素が大きく影響するため、一筋縄では可視化できません。

設計から始める負債対策

技術的負債の中でもコード負債は、リファクタリングや再構築といった具体的な手段によって改善できるため、比較的対処しやすい技術的負債の一つです。古いプログラムや他人が書いたコードに潜むリスクを特定し、構造を改善することで、コードの品質を高め、保守性を向上させることができます。

しかし、コード負債の根本的な解決は、設計段階から負債を増やさないような仕組みを構築することです。適切な設計、テスト、コードレビューなどを実施することで、コードの品質を保ち、将来的な負債の発生を抑制することができます。

設計の負債は高金利

一方、設計負債は「利息の高い負債」と呼ばれ、より難しい課題となっています。単体機能の再設計によってある程度の返済は可能ですが、プログラムは複数の密接に絡まり合ったモジュールで構成されることが多いため、複雑な改修作業を必要とします。加えて、稼働中のシステムに新しいプログラムを導入するリスクに対して、得られるメリットも必ずしも大きくないことから、設計負債は見過ごされがちな面があります。

設計の良し悪しは、たとえば「紙」というオブジェクトの振る舞いや保持する情報を問われれば、正解を導き出せるかどうかで判断できるでしょう。しかし、実際のシステム設計では、このような単純な問題設定ではなく、複雑な相互依存関係への配慮が求められます。

つまり、技術的負債への対応には、コード負債とシステム設計負債それぞれの特性を理解し、適切な改善策を講じることが重要といえます。

技術的負債の根本解決

しかし、技術的負債の本質的な問題は、これらの目に見えやすい負債ではなく、むしろ長期的な視点での一貫したシステムの維持管理にあります。保守費用や運用費用を支出しているだけでは、将来の負債を減らしていくことはできません。ITコンサルタントやITアナリストなどの専門家の関与により、鳥瞰的な視点からシステムの運用状況を把握し、適切な改善策を立案していくことが不可欠です。

企業の持続的成長を実現するためには、技術的負債への戦略的なアプローチが重要です。設計負債やコード負債への個別の取り組みに加え、長期的な視点に立った包括的なマネジメントが求められます。企業はこのような技術的負債への理解を深め、組織全体での課題認識と対策の実行が必要不可欠といえるでしょう。

まとめ

ITコンサルタントやアナリストは、すぐに利益も生まない、経費を削減するわけでもないといったコストセンターとしてのポジションなので、あまり起用していない中小企業も多いようです。投資に対する効果が見えにくいのは、料理でいう香辛料と同じなのかもしれませんね。その少しの投資が未来を大きく変えることになります。IT技術は日進月歩で発展するからです。

技術的負債は説明しにくいため、多くは低品質なコードがもたらす損害とありますが、実はそれだけではないのです。既知の技術的負債が放置されるケースや負債返済のためのパートナー選びの失敗などが、さらなる負債へつながります。たとえば、作り直しが早いと言われても、利子が大きくなる要件定義をしてしまうことで、結果的に構築当初より技術的負債を抱えることもあります。

そのほとんどは、コーディング能力不足ではなく、未来のことや細部への配慮を欠くことで技術的負債が潜在的に蓄積されるケースがほとんどです。システムが維持できるか否かよりも負債によるシステム対応の遅さによって会社の競争力が衰えることが懸念されます。

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