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最後システムどうする?の日本、ITエンジニアが重役の米国

デジタル化の荒波

AIやIoT、デジタルトランスフォーメーションなど、かつてはITとは無縁だった一般企業でさえ、急速なデジタル化の波に飲み込まれています。複雑に絡み合ったシステムの中で、どのように変革を遂げればよいのか、経営者の多くが焦りや不安を抱いています。このような背景から、近年ITコンサルタント企業が急激に増えてきました。

ITコンサルタントは、企業の現場を詳しく調査し、課題を分析した上で提案を行います。現場での業務フローの観察や、従業員へのヒアリングなどを通じて、ITシステムの問題点や改善の余地を洗い出し、その上で、業務プロセスの改善案や、新しいITシステムの導入計画などを提示してくれます。

クライアント企業の経営層は、専門家からの提案を参考にしながら、デジタルトランスフォーメーションに向けた施策を検討することになります。

過大な負担とリソース不足

しかし、ITコンサルタントから提示される提案は、多くの場合、経営層の想定を大きく上回る大がかりなプロジェクトとなっています。大規模なITシステムの抜本的な改修や、デジタル化に向けた多額の投資は、中小企業にとって過大な負担となる可能性があります。限られた予算の中で、そこまでの大きな投資を行うことは現実的に難しい状況です。

さらに、日々の業務に追われ、人的リソースが不足していることも、大規模な変革を躊躇させる要因となっています。現状の業務運営でも手一杯な状態では、ITシステムの大規模な変更を行う余裕がありません。「現行の業務は何とか回せているから、今すぐにシステムを変える必要はない」と考える経営者も少なくありません。

デジタル化の重要性そのものは理解しているものの、実際にそれを実行に移すタイミングが難しいというジレンマに、経営者は陥ってしまっています。変革の必要性と、現実的な制約との間で、揺れ動く姿勢が見て取れます。ITコンサルタントが提示する大規模な提案に戸惑いを感じつつも、現状に満足できないジレンマの中で、経営層は逡巡を余儀なくされているのが実情なのです。

段階的アプローチ

このような状況を打開するためには、理想的な「あるべき姿」を一気に目指すのではなく、既存の業務や売上への影響を最小限に抑えながら、徐々にでも理想に近づけていくタイムラインを持ったロードマップが不可欠です。状況に応じて柔軟に針路を変更できる流動的なシステム導入が求められます。これは単なるシステム構築の工程表ではなく、変革への道筋をフレキシブルに描いたものなのです。

経営層は、ITコンサルタントから提示された大規模なプロジェクトに戸惑いを感じがちですが、むしろ現行業務への影響を最小限に抑えつつ、少しずつ理想に近づけていけるロードマップを求める傾向にあります。一気に変革を推し進めるのではなく、段階的に進めていくアプローチが重要視されています。変革の道のりは急がば回れではありませんが、その一方で現実的な制約もあるため、理想と現実のバランスを取った提案が不可欠となります。

コンサルタントからの一気呵成の大規模提案に戸惑いを感じる経営層に対し、まずは小さな一歩から始め、既存業務への影響を最小限に抑えながら、徐々に理想に近づけていくフレキシブルなロードマップを示すことが肝心です。現場の実情に合わせて柔軟に軌道修正できる変革の道筋を描くことで、経営層の不安を払拭し、着実な前進を後押しすることができるのです。

IT人材の地位向上

しかし、コストを最小限に抑えつつコストパフォーマンスも追求し、さらにはビジネスの変革まで同時に狙うような器用な施策を提案できる企業は、意外と少ないのが実情です。

ITコンサルタント企業の多くは、ITエンジニアの社会的地位があまり高くないことから、報酬を優先せざるを得ず、短期的な利益を追求する傾向にあります。そのため、長期的な視点に立ったダイナミックな変革の提案が難しい状況に陥っているのです。

一方で、クライアント企業の経営層は、ITコンサルタントに対して、コストを最小限に抑えつつ、徐々にビジネス変革を遂げられるロードマップを期待しています。しかし、コンサル企業側の報酬体系の問題や、ITエンジニアの社会的立場の低さなどから、そうした理想的な提案ができずにいるのが現状です。経営層の期待とコンサル企業の実態との間に大きなギャップが存在しているといえます。

このようなギャップは、ITエンジニアの社会的地位の低さから派生する構造的な課題に起因しています。エンジニアの処遇や社会的評価が低ければ、優秀な人材を確保することが難しくなり、結果としてコンサル企業の提案力が低下してしまうのです。日本企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させるには、このような構造的な課題を解決し、IT人材の地位を向上させることが不可欠な課題となっています。


まとめ

米国ではITエンジニアは色々な企業に属していて、会社がシステム開発を内製化していることがほとんどです。内製化が進んでいる米国では、一般企業に所属するITエンジニアがマネジャーなどの重要な役職に就きます。その結果、ビジネスそのものにITが活用されるといった具合です。

アタラキシアDXでは、どのように内製にITエンジニアを起用し、ITを駆使した経営に変えていけるのか。ビジネス変革を起こすベースを作り、時代に合わせてブレイクさせるのか。多くの事例から1社1社に合わせたDXをご提案します。