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【システム開発プロジェクト炎上診断】 ~ ⑦マネジメント編

火事の現場に出くわした時、消火活動より出火原因の調査を優先しろと言われたらどうしましょう。
システム開発プロジェクト炎上診断の最後は、マネジメント編です。
システム開発プロジェクトでPMより上の立場にいるのがマネジメント層です。日本の会社であれば組織上の上司であることが多いと思いますが、別の組織の役職者である場合もあります。
尊敬できる上司もいれば、頼りない上司も全く使えない上司もいるでしょう。窮地な状況で頼りたいのに頼りにならない上司は、困ったものです。

マネジメントの存在とは

開発ベンダーのマネジメントは、体制図上に開発責任者として名前が載りますが、実質的にプロジェクトを推進するのはPMです。体制図上のタイトルが責任者であったとしてもマネジメントの実態の役割は、プロジェクトマネージャーの相談役です。
具体的には、プロジェクトマネージャーの範疇を超える問題について対応を判断し、時に自ら動いて鎮静化することです。品質が担保できない、大幅に赤字になりそう、納期に間に合わないなどQDCのどれかが大きく逸脱しそうな時がマネジメントの出番となります。
これ以外にも、昨今では情報漏洩インシデントやハラスメント、残業の大幅な超過やコンプラ違反などでもマネジメントが登場します。

マネジメントへの接し方

プライベートで深刻な相談をする相手は、普段から接する機会が多く、良好な関係を築いている人です。そういう相手でなければ相談する気もおきませんが、相談にも乗ってくれません。
プロジェクトでも同じことで、PMが日ごろからマネジメントの存在を面倒に思っている場合、いざという時に快く相談にのってくれないかもしれません。
いつか深刻な相談をする機会があることを想定して、貯金のつもりで定期的に面倒くさがらずに丁寧に状況を報告することが大切です。報告する内容は、開発の中身ではなく、進捗と課題に加えて、現場の雰囲気も共有すると喜ばれます。

間違った相談の仕方

世の中には相談が上手い人と下手な人がいます。キャラクターも関係しますが、その差は相談の仕方にあります。いざ相談をするとなった時、「どうしましょうか?」と聞いてしまう人は、マネジメントからすると困るし、失望もされます。その場は優しく答えを教えてくれるかもしれませんが、心の中ではプロジェクトマネージャーとしても組織のリーダー候補としても、不合格の烙印を押されています。
プロジェクトを推進する責任者はPMなのですから、自分のプロジェクトをどうしたいかという意思があるべきで、そのPMの意思ついて意見を求めたり支援を得たりすることが相談です。確固たる意思がなくても対応のアイデアとなる選択肢を考えておくことは最低でも必要です。
意思もなく、選択肢もなく、どうしましょうか?では、相談になりません。
マネジメントの立場としても、意思や選択肢のない相談は、ミスジャッジに繋がる可能性があるため危険です。マネジメントはプロジェクトの状況と中身を詳細に把握しているとは言えないため、考える時間に余裕があれば情報集めの指示を出し、判断は次回ということも出来ますが、即座に判断しろと言われたら少ない情報から間違った答えを出してしまう可能性もあります。

こんなマネジメントは嫌だ

これまで出会ったマネジメントの中には、まったく役に立たない人がいました。なんのための役職で、どういう立場でプロジェクトに参画しているのか不思議です。
そんなマネジメントが上にいたら、助けを期待することは諦めて、試練だと思って自力で頑張る方が自分自身にとってもプロジェクトにとっても有益です。使えないマネジメントに相談したことで状況の悪化を招き、損害を食い止めるどころか広げてしまう事態は最悪です。


①判断が遅い

自分で判断するのが怖いか、責任を取りたくないのか、覚悟が足りないのか、そもそも判断する能力がないのかわかりませんが、どんな理由だとしても相談役としては全く役立たずです。
マネジメントに相談するのは切羽詰まった状況です。100人のプロジェクトで1日無駄に過ごせば100人日つまり5人月、2日間その状況が放置されれば10人月とみるみるロスは膨らんでいきます。判断の遅れが、被害の拡大に繋がることを理解していないのでしょうか。


②自分で判断しない

相談しても、自分では判断せずにさらに上にエスカレーションする人です。このような何かにつけて上司へ判断を仰ぐといった行動に出る人は、相談役になりません。何も考えずに即座に上へ話をする人は繋ぎ役としては使えますが、上司への相談の仕方やタイミングを見計らうことに時間をかけるような人には相談しない方が良いです。ただでさえ窮地で忙しい状況で上へ相談するための資料作成を求めてくるような人は、状況を悪化させるだけで何のメリットもありません。自分で作ってくれと言いたくもなりますが、会社員である以上、逆らうことは避けるべきなので、相談しないことが唯一のソリューションです。


③対応より原因を求める

火の勢いが広がりを見せようとしている状況で、消火よりも出火原因を先に突き止めろと指示をする神経にはぞっとします。
被害を最小限にするには何よりも対応を優先する以外にありません。
対応には追加費用が発生するため、その判断のために原因調査の必要性も理解はできますが、消化活動よりも調査を優先していたら、気が付いた時には大火事になっています。


④現場に指示するだけ

問題発生時には、対応だけでなく原因特定や類似の問題がないか調査する活動などやることが多く、現場はタフな状況が続きます。そんな苦しい状況にもかかわらず、クライアントへ報告する資料作りを現場に求めてくるマネジメントは狂っているとしか思えません。
マネジメント自身で資料を作るか、対応を最優先で行わせてくれとクライアントと話を付けるか、マネジメント一人でクライアントに乗り込んで平謝りでも時間稼ぎでもやってくれた方が嬉しいです。クライアントの言われたことをそのまま現場に指示するマネジメントは、もはや害でしかありません。

PMをフォローしないマネジメントが真の主犯

PMを自分で任命しておいて、炎上したら、あのPMは駄目だと無責任に言い放つマネジメントにはもはや笑うしかありません。任命した時にPMの危うさを理解していたのであれば、不足している部分をサポートすることもマネジメントの役割です。能力や性格、技術力を評価もせずに任命し、炎上したのであればマネジメントも同罪です。
PMの不得意な面をフォローする体制を作ってあげれば、経験不足のPMでも成功に導くことが出来るかもしれないし、そこで得た経験と学びが財産となって成長に繋がる可能性があるはずなのに、その目を潰したマネジメントの罪は大きいと思います。

炎上診断チェックリスト(⑦マネジメント)

⑦-1.PM経験
・PMの上司となるマネジメントにプロジェクトマネージャーの経験が豊富にある
・PMの弱みや不得意なこと苦手なことを知っている
⑦-2.システム理解
・システムの構造を理解できているか
・システム開発の緻密な計画を作れる、進め方の勘所をもっている
・いざという時にPMの代わりができるか
⑦-3.裁量
・PMの上司となるマネジメントに、1週間分の体制維持コスト超過の裁量がある
・直上司より上のマネジメントへの報告は直上司のみで行える(行っている)
⑦-4.繋がり
・社内の別部署から優秀な社員を引っ張ってこれる
・すぐに連絡が付き、動いてもらえる馴染のベンダーや派遣会社を多く知っている
⑦-5.会社での評価
・PMの直上司であるマネジメントは、上司から信頼されている
・マネジメントは、上司に迎合せずに発言と行動ができる

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