システム開発プロジェクトにおいて、会議は数多く行われる欠かせないプロセスのひとつです。しかし、現場のITエンジニアにとっては「会議の時間が長い」「無駄な話題が多い」など不満が噴出しやすい業務でもあります。
また、プロジェクトマネージャーとしては、参加人数の多い会議を工数換算すると多大な費用が掛かっていることに気付き、会議の効率化と合理性を両立しなければなりません。
では、有意義な会議を実施するためにはどのようなポイントに気を付ければよいのでしょうか。そこで注目すべき会議が改善するテクニックが、「ふへほ」の反応です。
この「ふへほ」の反応を導入して会議の評価を行うのです。今回の記事では、「ふへほ」の反応の意味や会議の進め方、具体的な導入例について紹介していきます。
かんたんイラスト(記事を読む時間のない人へ)
「ふへほ」の反応とは?
「ふへほ」の反応とは、相手の反応を下記の3段階で区別する方法です。
ふ:ふーん(興味ないね)or(既に知っていますよ)
へ:へぇー(そういう考え方やアイデアもあるのね)
ほ:ほぉー(なるほど! いいね、それ!)
「ふーん」よりも「へぇー」、「へぇー」よりも「ほぉー」の方が良い反応だと評価します。
そもそも、会議に参加しているのに、一言も発言しない人は参加しなくても良い人かもしれません。いまどき情報共有であればメールでも掲示板でも様々なコミュニケーションツールを使ってできるので、参加者の時間を拘束してまで会議で共有する必要はない場合もあります。
だとすると、会議は、意見やアドバイスをもらったり、レビューや承認を得たりと、発言者は誰かから反応を期待することになります。その誰かからの反応によって、自分の発言を評価するのです。
評価と言うと、評価基準など評価方法など大げさに考えがちですが、あくまで会議を有意義にするための手法の一つなので、簡単です。
例えば、会議を若手に任せた際に「今日の会議は何点だったと思う?」と聞いたとしましょう。若手の答えは「言いたいことが伝えられたので100点です」「緊張して上手く話せなかったので50点です」など、主観的な評価になってしまいますし、評価基準も個々人で異なります。
そこで、そこまで大げさに基準や方法を決めないまでも、ある程度、自己評価の基準とするのが「ふへほ」の反応です。会議中に参加者の反応を見て、「ふへほ」の中でどれに当てはまるか判断します。
会議は、参加者全員が発言するようなコミュニケーションが良い会議だと思います。そのようなコミュニケーションが前提とはなりますが、その上で、この「ふへほ」の反応による評価を導入することで、より会議の質を高めていきます。「ふへほ」の反応は会議の良し悪しを相手の反応で判断するため、自己評価とはいえ比較的に客観的な評価ができます。また、自身の評価だけではなく、会議に参加している人の別の発言者とも相対的な比較ができるため、会議の質向上に繋がるのです。
「ふへほ」の反応を会議に導入する方法
システム開発プロジェクトにおいては、会議が多くあります。ここでは、会議における「ふへほ」の反応の導入方法について解説します。
0. プロジェクト標準ルールとして周知
はじめに、プロジェクト標準として、掲示板やルールブックなどで「ふへほ」の反応について、プロジェクトマネージャーから周知します。プロジェクトのキックオフ会議の場で伝えることでも良いです。
1.会議を設定する
次に、会議を設定する際には、目的に応じて参加者を決定することになりますが、目的とAgendaは必須です。そのAgendaのトピックス毎に関係する参加者を列挙します。
つまり、そのトピックスに名前がある参加者は何等か発言を求めているということを示すのです。下記のように会議案内の文面に記載しても良いと思います。
※トピックスに名前がある人は、そのトピックスで何等か発言してください
また、ディスカッションが主目的となる会議の場合には、事前に参加者にアイデアや意見を用意しておくことを、会議案内の中で伝えることが必要です。
プロジェクトマネージャーの中には、会議を開催する時に、より多くの人、もしかしたら全員を集めたがる人もいるでしょう。しかし、プロジェクトメンバーは自分と無関係な会議には参加したくないはずですし、必要のない人を参加させることは効率的ではありません。強制的に参加させているとチームの士気も下がりかねません。
会議の参加者は目的に合うメンバーに限定すべきです。参加者を絞ることで、プロジェクト全体の作業時間を増やし、工数削減にも繋がります。
2.いざ会議
会議を開く際には、課題とゴールを参加者全員と共有することが大切です。会議冒頭に、会議の目的とともにAgendaを説明します。続いて、多少しつこいですが、「ふへほの反応」を説明し、参加者全員が自己評価することを促します。
これで、会議を始めます。
会議が終わったら、「ほ」何個とった?と聞くことで会議の出来を確認できます。導入してから数回程度は、会議後、参加者一人一人に自己評価の採点を確認しても良いと思いますが、毎回の会議で「ふへほの反応」の説明を行い、定着化してくれば、その後の確認は不要で、自然と会議が活発化し、効率的になります。
実際の会議における導入例
では、実際の会議を例に、会議の改善ポイントと具体的な「ふへほ」の反応の導入例を見ていきましょう。
議題:UI改善のためのアイデア出し
会議冒頭:「会議の議題については事前に伝えておりますので、まずは〇〇さん、意見をお願いします」
<改善ポイント>会議冒頭では、まず会議の目的とゴールを参加者と共有すべきです。たとえ事前に伝えていたとしても、改めて説明することで全員の意思を統一します。また、発言者には、「ふへほ」の反応で自己評価するように促します。
会議中:「誰か他にアイデアはありませんか?」
<改善ポイント>誰かではなく、一人ひとりに意見を聞きましょう。
<改善ポイント>またアイデア出しの会議において、反応が薄いことは発言者としては不安です。なので、参加者には「ふへほ」の反応のどれかを積極的に反応をしてもらうことをお願いします。
会議終了時:「では〇〇さんの意見を採用します。」
<改善ポイント>会議で出たアイデアは、一覧化して採用を決めることが多いと思いますが、各アイデアに「ふへほ」の反応数を記載することでアイデアの評価にもなり、発言者の評価も出来て一石二鳥です。
まとめ
会議における「ふへほ」の反応について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
システム開発プロジェクトだけでなく、あらゆる会議において使える手法だと思いますので、是非「ふへほ」の反応を導入して、会議の質を上げて欲しいと思います。
その結果として、プロジェクトの効率化、活性化につながると思います。
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