DXの本質はIT内製化
現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目を集め、様々なサービスが急速に広がっています。このバズワードに引っ張られ、数多くの企業やサービスが市場に登場している一方で、その中には本質的な変革を遂げるものとそうでないものが混在しています。DX時代において、本当に重要なのはITの内製化です。
デジタルトランスフォーメーションは単なる技術の導入や一時的な流行ではなく、組織全体の価値観やビジョンの変革を伴うものです。有象無象のサービスが乱立する中で、企業が成功するためには単なる外部からの技術の採用だけでなく、内部でのITの強化と内製化が不可欠となります。
ITの内製化は、企業が自らのニーズやビジョンに合わせてカスタマイズされたソリューションを開発し、効果的に運用することを意味します。これによって、企業はより迅速かつ柔軟に変化に対応し、競争力を維持できるようになります。外部サービスの活用も重要ですが、内製化がなければ真のDXは難しいと言えるでしょう。
DX時代において、企業は単なるトレンドに追随するのではなく、自らの組織文化やプロセスを見直し、持続可能なデジタルイノベーションを推進していくことが求められています。そのためには、バズワードに流されずに、ITの内製化を含む本質的な変革を進めることが不可欠です。
IT内製化の課題
ユーザー企業が直面しているIT内製化の課題は、過去に作成されたソフトウェア資産の将来的な取り扱いに関する重要な問題です。これらの資産は、SIベンダーに依存している場合が多く、そのブラックボックス的な性質から、ベンダーが存在しなくなるとメンテナンスが困難となります。
SIベンダーによる提供されたシステムやアプリケーションは、その設計や実装が外部のエキスパートによって行われているため、企業自体がそのソフトウェアを理解しにくいという課題もあります。これがいわゆる「ブラックボックス」の性質であり、ユーザー企業が独自の要件や変更に対応するためには、外部のベンダーに頼るしかないという状況が生まれます。
更に、SE(システムエンジニア)個人に過度に依存しているケースも見受けられます。これは、特定のSEがプロジェクトやシステム全体を理解しており、その知識が個人に依存していると、そのSEが退職したり異動したりすると、企業は大きな知識の損失を被る可能性があります。
IT内製化を進める上での解決策としては、従来のソフトウェア開発プロセスに透明性を持たせ、ドキュメンテーションやトレーニングの充実を図ることが挙げられます。これにより、企業は自己完結的にソフトウェアの保守や変更に対応できる力を身につけ、外部の依存を最小限に抑えられるようになります。
SIベンダー離れ、SE不在
近年、SIベンダーとの信頼関係に陰りが見られ、多くの企業がその提供するサービスに疑問を抱くようになりました。この不信感から、企業はSIベンダーとの契約を解消し、独自でシステムをメンテナンスする動きが目立っています。これにはさまざまな背景がありますが、特に依存していたSEが辞職したり、関連する技術者が離れるなどの要因が影響しています。
SEの離職や技術者の脱退により、かつてのシステムの設計思想や内部構造が理解されなくなるという課題が顕在化しています。企業が直面しているのは、まさに知識の断絶と言えるでしょう。これが続くと、システムのアップデートやバグ修正などのメンテナンス作業が難しくなり、業務の遂行に支障をきたす可能性が高まります。
このような状況に対処するためには、企業は内部の知識蓄積を重視し、知識の共有を促進する仕組みを整える必要があります。また、外部リソースへの過度な依存を軽減し、独自のエキスパートISEを築くことが求められます。これによって、企業は変動する状況にも柔軟に対応でき、システムの持続的な運用が可能となるでしょう。SIベンダーからの独立は、持続的な成功に向けた一歩と言えるかもしれません。
オフショア戦略見直し
SIベンダーの変更やオフショア開発の採用を考える際、時すでに遅しの可能性があります。新興国での賃金上昇や円安の影響により、かつて容易に利用できたベトナムのIT企業などでも断られるケースが増加しています。
従来、オフショア開発は低賃金国でのリソース活用が主流でしたが、現在ではこれが一変しています。新興国でもITの需要が高まり、賃金水準が上昇してきています。この動向が特に顕著なのがベトナムなどのアジア諸国で、円安も相まって、過去のように手頃な価格でサービスを提供することが難しくなっています。
したがって、企業は安易なオフショア戦略に頼らず、より持続可能なアプローチを模索する必要があります。これには、内製化や地元のパートナーシップの強化、グローバルなチーム構築などが含まれます。オフショアが一つの手段であると同時に、リスクやコストの変動にも注意を払い、柔軟性を確保することが不可欠です。
状況の変化に対応するためには、グローバルな視点を持ち、継続的な評価と調整を行うことが求められます。SIベンダーやオフショア開発の限界を認識し、新たなビジョンとアプローチを模索することで、企業は変動する市場に適応し、競争力を維持できるでしょう。
まとめ
プログラムを書けることが有能というのは誤りで、戦略やユーザー部門のニーズを的確に捉えて事業そのものやシステム仕様に落とし込み、それをどのように実現していくかまでイメージできるPMが必要です。また、常に状況が変化する今、ローコード開発の導入は必須と言えます。SEとやりとりする時間さえなくなっていきます。
AIなどによるローコード開発のツールの発達により、ユーザー企業では今後ますますIT内製化が加速していくいくでしょう。ローコード開発(特にMicrosoft社製PowerApps)に強いPMOを構築できるアタラキシアDXを、よろしくお願いいたします!