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外国籍不可? -単なる代役ではない-

IT技術者が足りない状況においても「外国籍不可」や「もうベトナム人は結構です」という声も聞くことがあります。
でも、人が足りない、従来型IT技術者も高騰している状況で、AIだなんて声もありそうですが、すぐに普及の段階に進むわけではありません。
最近ではベトナムでのオフショア開発先でChatGPTを活用して、プログラミングしていますということも多くなっています。
しかし、日本では検索してもらえるとわかる通り、「ChatGPT 使えない」などのリコメンドがある状況です。これは、使い手にも課題があるからに他なりません。
さて、その使い手に時間を作るためにも、従来型IT人材の活躍する分野では、海外IT人材や
海外パートナーとうまく連携していく必要があります。

ベトナム人エンジニアは優秀である、という言葉だけで、うまくいかなかったのはなぜでしょうか。今回は、この背景に深く関係している技能実習制度という闇について紐解いていきたいと思います。

技能実習生とはなんぞ?

技能実習生制度は、日本の産業界における技術やノウハウの習得を目的として、多くの外国人が日本へと足を運ぶ枠組みです。この制度を通して、彼らは日本独特の技術や知識を学び取り、その経験を元に母国での産業発展に貢献することが期待されています。その意義は、国際協力や技術伝承にも繋がり、双方の国にとって有益なものとなっています。

しかしながら、近年の動向として、技能実習生を日本のIT業界で即戦力として働かせるケースが増加しています。これには、IT人材の不足やコスト削減といった背景があるかもしれません。しかし、技能実習生を専門のITエンジニアと同等に扱うことは、彼らの本来の目的から外れるばかりでなく、業務の適正化や質の確保といった観点からも問題が生じる可能性が高まります。

実際、IT業界は常に進化し続ける分野であり、短期間でのスキル習得は難しく、長期的なキャリア形成や教育のサポートが必要です。技能実習生を短期的な人材供給の手段として利用するのではなく、彼らの成長やキャリアのサポートを重視すべきです。それにより、真の国際協力や技術伝承が実現されるでしょう。

日本人の代わりに技能実習生?

技能実習生として日本に訪れる多くの外国人たちは、日本の先進技術やノウハウを学ぶための期待と夢を胸に来日します。しかし、彼らに対して日本のITエンジニアとしての完璧な役割を期待するのは、現実的ではありません。というのも、日本のIT業界は他国とは異なる独特の開発手法やプロセス、さらには業界独自の文化や慣習を有しています。これらの要素を短期間でマスターするのは、容易なことではなく、実際には長い時間と努力が必要です。

また、業界の専門知識だけでなく、日常業務を遂行するためには日本語の高いスキルが求められます。ビジネス文書の作成、会議でのコミュニケーション、クライアントとのやり取りなど、多岐にわたる業務内容において、言語は必須のスキルとなります。更に、日本の文化やビジネスマナー、社会的な慣習にも精通していることが期待されます。このような多方面の要素をバランスよく習得し、それを業務に活かすことは、外国からの技能実習生にとって高いハードルとなるでしょう。

さて、私たち自身が外国で働くことを想像してみましょう。未知の言語、文化、そして業界独自の慣習の中で、初めての仕事に取り組むことは、非常に大きなプレッシャーを伴うことでしょう。さらに、その国特有のビジネススタイルやマナーを短期間で身につけ、即座に実践することは、我々自身も容易ではないと感じることでしょう。

このような難しい状況の中で、技能実習生に過度な期待を抱き、成果が期待通りでないと彼らを批判するのは、公平性に欠けると言わざるを得ません。彼らが日本での経験を最大限に活かすためには、理解とサポートが必要です。日本の企業や社会全体として、彼らの背景や立場を尊重し、持っている能力を最大限に引き出す環境を整えることが求められるのです。

日本に出稼ぎに来ているのでは?

近年、世界中の国々がIT技術やデジタルイノベーションで急速に発展しており、日本もその中での位置付けが変わりつつあります。一時、日本は高度経済成長を遂げ、「日本アズアナンバーワン」との声が多く聞かれるようになりました。その結果、発展途上国からの技能実習生を、単に安価な労働力として活用する風潮が強まったのです。

しかしその後、国際的な経済環境は大きく変わり、特にアジア諸国の中で多くの国が経済・技術的に急成長を遂げています。これに伴い、日本の経済や技術のリーダーシップは相対的に低下し、多くの国から「IT後進国」との指摘を受けるようになってきました。円安の進行や技術の流出、そして新興国との競争激化など、日本の産業や経済環境は厳しい状況に直面しています。

このような背景の中、技能実習生に対する誤解や偏見が生まれるのも無理はありません。彼らは日本の産業や社会に貢献する意志を持って来日していますが、一部の企業や業界においては、彼らを単なる安価な労働力として見る風潮が根付いてしまっています。このような認識は、技能実習生自体の能力や潜在的な価値を適切に評価していないと言えるでしょう。

技能実習生の役割を単純に日本のITエンジニアの代替として考えるのは、実際の彼らのスキルや経験、そして期待に応えることが難しいと言えるでしょう。また、このような短期的な視点は、日本のIT産業の長期的な成長や競争力を損なうリスクも持っています。

まとめ

技能実習生の存在は、日本の産業界における重要な要素として位置づけられています。彼らの真の価値や持っている能力、そして彼らの出身国の背景を深く理解し尊重することが、日本の産業や経済の持続的な成長に繋がるのです。特に、国際的な競争が激化する現代において、日本の技能実習生とのパートナーシップの構築は欠かせない要素となっています。

しかしながら、技能実習生を単に日本のITエンジニアの代役として考えるのは、極めて短絡的な考え方であり、誤りです。彼らに日本語の完璧な使い方や日本特有のIT技術、開発手法のすべてを求めるのは、実際のところ非現実的であり、効率があがるとは考えられません。

今必要なのは、生産性を向上するために技能実習生を一人の技術者としてのみ見るのではなく、チームや企業全体の一部として機能させるようにすることが重要です。なにより、日本側の発注者としてのスキルや知識も向上させる必要があります。どのような指示をすればスムーズにプロジェクトが円滑に進むのかなど、日本のIT技術者不足という課題を乗り越えるためには、発注者側と受注者側のコミュニケーションを強化することが不可欠です。

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