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ITコンサルは実務経験が必須!知識だけでは不十分!?

現場経験がリーダーシップ

イーロン・マスクは、テクノロジー業界のアイコンとして数多くの革新的な事業を興してきました。Tesla、SpaceX、Neuralinkといった会社を運営する彼がソフトウェアチームの管理に関しての持論を持っているのは、驚きの事ではありません。彼が提唱する「ソフトウェアチームの管理職は仕事時間の20%をコーディングに使うべきだ」という考えは、単に時間の配分の提案以上の意味を持っています。
ソフトウェア開発において、「設計」と「製造」の二つのステージは、一般的に異なる工程として捉えられがちです。しかし、これらは密接に関連しており、一方が他方に影響を及ぼす可能性が常にある。マスクの考えにおいて、管理職がコーディングの現場に足を運び、実際に手を動かすことで、その複雑さやニュアンス、現場の課題やニーズを実感できる。その結果、チームの意思決定や戦略的な指示がより現実的で具体的なものとなる可能性が高まります。
このようなアプローチは、トップダウン型の伝統的な管理スタイルとは異なるものです。ソフトウェア開発の現場においては、細かい技術的な問題や要求の変更、新しい技術の導入など、日々の変化が激しく、管理職がそれをリアルタイムでキャッチアップするのは容易ではありません。しかし、彼らが一定の時間をコーディングに当てることで、開発チームとのコミュニケーションがスムーズになり、モチベーションの向上や効率的な作業が期待できるでしょう。
さらに、管理職がコーディングに関わることで、彼ら自身の技術的なスキルや知識も維持され、時代の変化に柔軟に対応できる組織作りが可能となります。技術の進化は日進月歩であり、現場から離れてしまうと、最新のトレンドや技術に疎くなってしまうリスクが高まります。
イーロン・マスクの言葉は、ただの労働時間の配分の提案にとどまらず、ソフトウェア業界におけるリーダーシップのあり方や、組織の運営のヒントを示しています。現場の実情を知り、それを元に組織の方向性を示すリーダーの姿勢は、どの業界でも非常に重要ですが、特に変化の激しいソフトウェア業界においては、その意義が一層強調されるでしょう。

開発手法の進化

ひと昔前、ソフトウェアの世界には「良い設計があれば、製造は誰でも行える」という一般的な考えが広まっていました。この思考は、ソフトウェア開発のフェーズを一つ一つ明確に進めていくウォーターフォールモデルに基づくものでした。ウォーターフォールモデルは、要件定義、設計、実装、テスト、リリースという一連の工程を順番に進める手法であり、各工程が完了するまで次の工程に進めないという特徴がありました。そのため、設計がしっかりと行われれば、それに基づいて製造を進めるだけで良いというスタンスが取られていたのです。
しかし、昨今のソフトウェア開発のトレンドは、ウォーターフォールとは大きく異なるアジャイル開発に移行しています。アジャイル開発は、小さな単位での開発とフィードバックを繰り返し、柔軟に仕様変更や改善を取り入れていく方法です。この手法では、設計と製造が一体となり、一つのタスクや機能を設計しながら同時に実装していくスタイルが一般的です。結果として、設計者と製造者の境界は曖昧になり、同じ人が設計と製造の両方を担当するケースが増えてきました。
この変化は、現代の急速に変わるビジネス環境やユーザーのニーズに柔軟に対応するためのものです。アジャイル開発の特徴である短期間でのリリースや、頻繁なフィードバックの取り込みは、製品を迅速に市場に投入し、顧客の要望や変化する状況に迅速に応じることができる利点があります。
このように、ソフトウェア開発のアプローチは時代やニーズに応じて進化し続けています。ウォーターフォールモデルが主流だった時代には、設計の品質が製造の品質を保証するものとされていましたが、アジャイルの時代には、設計と製造が密接に連携して迅速な開発を追求する姿勢が求められているのです。これは、ソフトウェア業界が常に最前線での課題解決を求められる分野であることの証左であり、開発者自身もこの変化に適応し続けることが必要とされています。

製造のみの下請けではなく開発パートナー

オフショア開発は、ソフトウェア開発の一部または全部を海外の企業やチームにアウトソースする手法です。過去のオフショア開発のアプローチは、主にウォーターフォール開発モデルの中の「製造」フェーズをターゲットとしていました。この背景には、為替の価格差を利用して、製造コストを大幅に削減するという経済的な動機がありました。特定の国や地域は、高度な技術力を持つエンジニアが多く、それでいて労働コストが低いという特性を持っていたため、製造を外部に委託することで、品質を保ちつつもコストを抑えることができるという利点があったのです。

しかし、時代は流れ、経済の状況やオフショア開発の認識は大きく変わってきました。円安の影響や世界的なインフレの進行により、かつてのような大幅なコスト削減を期待するのは難しくなっています。また、情報技術の発展や国際的なビジネスの拡大に伴い、オフショア開発先の国々も技術力やビジネスノウハウが向上してきました。

このような背景から、現代のオフショア開発は単なる「コスト削減の手段」としての側面から、真の「ビジネスパートナー」としての位置付けに変わりつつあります。オフショア開発先のチームや企業は、単にタスクを実行するだけでなく、プロジェクトの成功のための戦略的な提案や意見を共有し、共同でソリューションを考え出すパートナーとしての役割を果たすようになっています。

この新しいオフショア開発のスタイルは、相互の信頼やコミュニケーションが非常に重要となる。両者が共通の目標やビジョンを共有し、協力してプロジェクトを推進することで、最終的には高品質なソフトウェアやサービスを生み出すことができる。オフショア開発先との強固な関係性や連携は、今後のソフトウェア開発における成功の鍵とも言えるでしょう。

経験者PMOの重要性

現代のソフトウェア開発業界においては、高速な開発が極めて重要とされています。市場やユーザーのニーズは日々変化し、それに迅速に対応することで、企業やプロダクトは競争優位性を保つことができるのです。この高速開発の中で、設計の品質が低ければ、製造フェーズでの混乱は避けられません。不明確な設計は、コーダーたちが何をすべきかの方向性を失わせ、時間の浪費やミスの原因となります。
従来、設計と製造は別々の部門、場合によっては別の地域や国で行われることが多かった。たとえば、設計が国内で行われ、製造はコスト削減の観点から海外のチームが担当するというケースです。しかし、このような分断された開発スタイルは、速さや効率を求める現代の開発環境には適していないと言えます。文化やコミュニケーションのギャップは、混乱を生む要因となりうるのです。
こうした背景から、開発チームをより包括的に、そして効果的にコントロールする手法の導入や見直しが不可欠となってきました。そしてそのキーとして注目されるのが、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)の役割とその組織構造です。特に、現場の声や技術的なニュアンスを正確に理解するためには、コーディングの経験があるPMOが極めて有効であると言われています
コーディング経験を持つPMOは、設計者や開発者の視点を深く理解できるため、彼らの課題や要望を迅速にキャッチし、適切な対応をとることが可能です。また、技術的な障壁やリスクを早期に識別し、その解消のための策を立てる能力も持っています。このようなPMOの存在によって、開発プロジェクト全体の品質や効率が向上し、最終的にはプロダクトの成功へとつながるでしょう。
結論として、現在の高速な開発環境においては、設計と製造の品質を確保するだけでなく、適切なPMO組織の構築とその活用が不可欠です。コーディング経験を持つプロジェクトマネージャーやPMOがチームをリードすることで、スムーズで質の高い開発が実現されるのです。

まとめ

「馬に乗ったことのない騎兵隊長」「剣を扱えない将軍」は成り立たないとイーロン・マスクの書籍にもあったとおり、やはりコーディングをしらない知識だけのITコンサルタントでは適切なPMO構築はできません。
PMが足りない現場にPMO構築をお勧めします。PMOチーム構築ならDX経験が豊富なアタラキシアDX株式会社にお任せください。